月1原発映画祭ニュースレター第12号

「月1原発映画の会」スタッフの小林です。
月1原発映画祭ニュースレター第12号をお届けします。

■今月のトピック「避難できる? 東海第二原発」

今年(2021年)3月、水戸地裁は「避難体制が整えられず、安全性に欠ける」と、日本原子力発電に東海第二原発(茨城県東海村)の運転禁止を命じました。今号では、東海第二原発の基本情報と、今回の判決の意義をお伝えします。

◆東海第二原発はどんな原発なのか。まずは楽しく「漫才で」確認したいと思います。

◇「オカンが忘れた原発の名前は?(ミルクボーイふうに)」 作:平坂謙次(原発と足立を考える会)
http://www.jtgt.info/sites/default/files/2021-09-11-1.pdf

◇3年前(2018年)のNNNドキュメント「首都圏の巨大老朽原発 再稼働させるのか ‘東海第二’ 」に、わかりやすくまとめられています。(24分)
https://www.dailymotion.com/video/x6x1slt

日本原子力発電(株)とはどのような会社なのでしょうか。
日本に商用原子力発電を導入するために、電気事業連合会加盟の電力会社9社と電源開発の出資によって1957年に設立された卸電気事業者(略称は原電または日本原電)。
原電保有の東海発電所は日本最初の商業用原子炉で、現在は解体中、敦賀発電所1号機は廃炉決定済、敦賀発電所2号機は定期点検中、東海第二原発は停止中。

◆では次に、今回の裁判はどのようなものだったのかというと・・・

◇再稼働を目指す東海第二原発を巡り、11都府県の住民ら224人が原電に運転差し止めを求めた訴訟。前田英子裁判長は、原発の半径30キロ圏に94万人が暮らすことを踏まえ「実効性ある避難計画や防災体制が整えられているというにはほど遠い状態で、人格権侵害の具体的危険がある」と、判決の理由を説明した。事故時の避難計画の不備を理由に、原発の運転差し止めを認めたのは初めて。判決では、避難計画を策定しなければならないとされている30キロ圏に住む原告住民79人の請求を認める一方、それ以外の請求は棄却した。
(棄却された請求についてなど、詳しくはこちらの「判決要旨」をご覧ください) http://www.t2hairo.net/hanketsu/t2hanketsuyoushi.pdf

東京新聞:東海第二原発の運転禁じる 水戸地裁「防災体制は極めて不十分」(2021/3/18)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/92269

◇なお、原告、被告ともに控訴したため、二審は東京地裁で争われます。
東京新聞:原告側住民120人が控訴 東海第二原発の運転差し止め訴訟(2021/3/31)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/95030

◇弁護団長の河合弘之弁護士が、判決の意義をわかりやすく解説した動画はこちら。
20210416 UPLAN 河合弘之「水戸地裁 勝利判決をうけて(東海第二原発運転差止め訴訟)」
https://www.youtube.com/watch?v=_ZicQTYsC8U

(最初~43:30まで今回の判決の意義。その後30分ほどは脱原発裁判全般についてなど)
レジメはこちらから
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/files/efbc88e383ace382b8e...

◇「東海第2原発差止訴訟団」のサイトにはさらに詳しい情報が載っています。
http://www.t2hairo.net/

◆関連するその他の情報

◇避難計画については「内閣府原子力防災担当」(2014年に発足)が担っています。避難計画を策定するべき範囲など、こちらの「よくあるご質問」のページが(実現可能かどうかは別にして)わかりやすいです。
https://www8.cao.go.jp/genshiryoku_bousai/faq/faq.html

◇茨城県内には、東海第二原発の他にも、原子力関連の施設が複数存在します。
https://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/gentai/shomu/bunakatu/images/... (茨城県公式サイトより)
その中でも、日本原子力開発機構の再処理施設(核燃料サイクル工学研究所)には、高レベル放射性廃液やガラス固化体があります。施設の廃止は決まっていますが、廃止完了には70年かかる予定です。東海第二原発とこの施設は2.8kmしか離れていません(上記地図②。原発は③)もし原発で事故が起これば、再処理施設にも影響が及ぶかもしれません。
朝日新聞:東海再処理施設の廃止作業2年ぶり再開へ 完了に70年(2021/8/16)
https://www.asahi.com/articles/ASP8J5WS3P8JULBJ00J.html

◇1999年9月、東海村にある核燃料加工会社JCO(上記地図⑪)で臨界事故が起こり、2名の作業員が死亡、近隣住民が被ばくしました。2年前の東京新聞の記事です。
<薄れゆく「青い光」 JCO臨界事故20年>(上)語れぬ苦しみ今も(2019/9/28)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/19329

◇日本原電は、保有する敦賀2号機の地質データを書き換えていました。このような会社に原発を運転する資格があるのでしょうか?
(朝日新聞社説)原発審査中断 原電に任せられるのか(2021/8/29)
https://www.asahi.com/articles/DA3S15025510.html

◇「とめよう!東海第二原発首都圏連絡会」では、毎月第1水曜日の夕方、日本原電本店(台東区上野5丁目)前で抗議行動を行っています。また、首都圏のさまざまなグループが各地で行う一斉行動(1回目はこの9月11日に実施)などを開催していく予定です。参加の希望やお問い合わせは、以下まで。
「とめよう!東海第二原発首都圏連絡会」stoptokai2.shutoken★gmail.com ←★を@に置きかえてください。

◇2019年7月、月1原発映画祭では 『恐怖のカウントダウン~東海第二原発を止めたい』(遠藤大輔監督)を上映しました。
http://www.jtgt.info/?q=node/2451

*今回改めて学んだのは「深層防護の考え方」でした。私なりの言葉でまとめると、原発は異常を起こさないように作られ運転されなければならない➡もし異常が起きても事故に発展させてはならない➡もし事故が起きても炉心を損傷させてはならない➡もし炉心が損傷しても放射能を施設外に出してはならない➡もし放射能が外に出ても、周辺住民が安全
に避難できる体制を作っておかねばならない。本当にこの防護を徹底しようとすれば、どこの原発も動かしてはならないはず。今回の判決は、他の裁判にも、また避難計画を作る各自治体にも影響を与えていくことと思います。が、まだ判決は確定していません。東京高裁での二審判決、再稼働に向けて工事を進めている原電の動き、ともに注目していきましょう。(文責:小林)

■インフォメーション

▪ 福島映像祭2021(主催:OurPlanet.TV)9月18日(土)~24日(金)ポレポレ東中野
http://fukushimavoice.net/fes/fes2021
(東海第二原発再稼働を問う県民投票実現を目指した市民運動の映画『県民投票』も上映されます)

▪福島原発刑事訴訟支援団【全6回:連続オンラインセミナー】 「責任は誰がとるのか ~東電刑事裁判 控訴審始まる~」
https://shien-dan.org/online-seminar-202108/

▪FoE連続オンラインセミナー  エネルギー基本計画素案を読む
https://www.foejapan.org/event/supt/6thenergyplan.html
第6次エネルギー基本計画(案)にパブリックコメントを!(10月4日まで)
https://www.foejapan.org/climate/policy/6thenergyplan.html

■1行ニュース

▪日本経済新聞:原発処理水を沖合1キロに放出 東電が方針、風評を抑制 (2021/8/25)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA249G40U1A820C2000000/

▪テレ朝news:全漁連「断固反対」福島第一原発処理水の海洋放出 (2021/08/25)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000226630.html

▪OurPlanet-TV:原発事故後の未公表データで食品から高濃度のヨウ素132〜福島県
(2021/8/25)
http://ourplanet-tv.org/?q=node/2597

▪毎日新聞:福島の帰還困難区域 20年代に希望者全員帰還へ 政府方針(2021/8/31)
https://mainichi.jp/articles/20210831/k00/00m/010/288000c

■超ショートコラム「自分の言葉で伝えよう」

このコーナーへの投稿を募集します。
お題: 「原発ないと困るでしょ」「原発ゼロの主張は無責任」って言われたら?
「五輪が終わって思っていること」「コロナ禍の自粛で考えたこと」などでも構いません。→200字以内、名前/ペンネーム、住んでいる地名などは投稿された方の任意とします。
投稿の原稿はメールでeigasai2021★jtgt.info宛てにお送りください。←★を@に置きかえてください。

■次回のニュースレター

次回は、「世界の原発の今」についてお伝えする予定です。

■ 月1原発映画の会

問い合わせ先  eigasai2021★jtgt.info ←★を@に置きかえてください。
http://www.jtgt.info/ (地域から未来をつくる・ひがし広場内)

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