9月1日(土)内部被ばくを生き抜く 〜月1原発映画祭レポート〜

内部被ばくを生き抜く 〜月1原発映画祭レポート〜

月1原発映画祭も、早いもので、もう5回目となりました。
9月1日(土)、会場はいつもの「谷中の家」です。

初めての試みとして今回は、昼と夜、2回の上映を行いました。
この映画は、子育て中のお父さんお母さんにもぜひ見てほしい、という思いから、昼の部も企画しました。

3時からの昼の部には、20名ほどの方がいらしてくださいました。
1才〜3才くらいのお子さんたちも6名ほど、お母さんのおひざで参加。
いつもの映画祭とはちょっと違う雰囲気です。

映画の前に、夜の部のゲストの権上かおるさん(環境カウンセラー)からのメッセージが代読されました。

権上さんは震災直後から、生活者目線で語る「おそれて、こわがらず」をネット等で発信されていらっしゃいます。

http://311.yanesen.org/archives/category/nuke/kaoru

メッセージの一部を抜粋します。

〜この映画は、福島を中心としたお話です。「私たちの東京ではどうなの?」と思われる前に、福島の現実を知っていただきたいと存じます。

今日私も福島から戻りましたが、現地に入ると、東京にいるときとは全く異なる印象−−こういういい方はいやなのですが、福島を切り捨てる、と感じてなりません。

内部被ばくについてはチェルノブイリにくらべ、福島は炉心が爆発していないため、相手はセシウムを中心に考えればいいということは、大きな救いです。

関心を持ち続けること、立ち向かうこと、こそが、内部被ばくを防ぐ第一歩と強く感じます。〜

「内部被ばくを生き抜く」は、これまでも原発や被ばくの問題を追いかけてきた、鎌仲ひとみ監督の映画です。

http://www.naibuhibaku-ikinuku.com/

肥田舜太郎、鎌田實、児玉龍彦、スモルニコワ・バレンチナの4医師が、食べものなどを通して放射性物質を体内にとりこんでしまう「内部被ばく」について語ります。

合わせて、二本松市で暮らし続けることを決めた、5人の子どものいる一家の様子が映し出されます。

さて会場の子どもたちはというと、ときどき小さな声は上がるものの、みんなとてもおとなしく上映に協力してくれました!

飽きないように気を遣ってくださっていたお父さん、お母さん方、ありがとうございました。

その他の参加者の方も、ご理解ご協力、本当にありがとうございました。

80分と少し長い映画なので、途中で休憩を5分とり、上映は4:30に終わりました。

その後は熱心にアンケートを書いてくださる方、権上さん推薦のブックレットを購入する方など、なごやかな雰囲気のなかで、昼の部は終了しました。

アンケート回答の一部を紹介します。

・福島のお母さんも頑張っているとわかって、私も心を引き締めようと改めて思いました。

・子供連れでも安心してみることができました。ありがとうございました。

・こんな不幸な出来事があっても、生きていこうという前向きな気持ちを持ちつづけることが、今の世の中で大切だということも改めて思い起こさせてもらった。

ちなみにブックレットは

「食べものと放射能のはなし」

「「原発をつくった」から言えること」 (わが子からはじまるクレヨンハウス…
ブックレット)です。

残部が少しありますので、希望される方には次回おわけできます。

原発の問題は未来に続いていく問題です。

若い世代の方や、子育て中の方にも、ぜひ映画祭にいらしていただきたいとスタッフは思っています。

谷中の家では、板の間でお子さんがくつろぐこともできますので、興味のある方はどうぞ遠慮せずにご参加ください。

私たちも、上映時間や、思いを語れる場など、できる範囲でご要望に応えていきたいと思います。

☆☆☆☆☆☆☆

5:30からは2回目の上映です。
30名ほどの方が参加してくださいました。
権上かおるさんも到着されて、上映前にひとことお話していただきました。

今回は(希望される方がなかったので)休憩なしの80分。

部屋のスペースもいすの座り心地も、一般の映画館のような環境ではないので、お疲れになった方もいらしたかもしれませんね。

それでも乗り出すようにして見ている方もあり、この問題に対する皆さんの意識の高さを感じました。

上映終了後、いつものように椅子を移動して、会場をカフェ形式に。

リピーターの方など積極的にお手伝いくださり、模様替えもおつまみのサービスもスムーズになってきました。
参加者みんなで作るカフェになってきたように思います。
皆さま、ご協力ありがとうございます。

今日のメニューは、カフェスタッフ特製のカナッペ4種類と、谷中の家の屋上で採れた野菜、鶴岡のだだちゃ豆。

ワインとハーブティーです。
リピーター参加者の方が、乾杯の音頭をとってくださいました。

スタッフを含めて30名ほどが参加。

権上さんからのご希望もあって、まずはできるだけたくさんの皆さんにお話ししていただくことに。

話す順番は、前回と同じく、引いていただいたトランプの数字で決まります。

時間はおひとり3分で、タイムキーパースタッフがストップウォッチを片手に、厳しくも優しく持ち時間の終わりを知らせる、なごやかな雰囲気でした。

いくつかの声を紹介します。

・旅行に行くと、地域によって震災や原発への関心の温度差を感じます。息子の友人一家が引っ越してしまい、さみしいです。

・あまりにも大きい問題でどうしたらいいのかわからなくなりますが、テレビと違
い、映画は情報が骨抜きされていないものが多いことに気付き、映画館でそのような映画のちらしをもらってきては、友人に渡しています。

・流山市に住んでいますが、近所の人はあまり放射線量のことなど気にしていないようです。映画を見て衝撃を受けています。登場する保護者の方たちを見て、自分は親として何をしてきたか、してあげられるか、考えています。

・先日、日本母親大会(新潟)に行ってきましたが、内部被ばくに関する声がとても大きかったです。

・原発はCO2を出さないというが、原料のウラン採掘、濃縮、運搬などには化石燃料が使われている。採掘地から日本にどうやって入ってくるのかも、私たちは知らされていない。

・映画はよかったが、監督の以前の作品と比べると、鋭さが減っているようにも思った。

・政府は昨年から今年にかけて、被災地の復興のために4回も補正予算を組んだの
に、半分しか使われていない。これからの被災地が心配だ。

・映画の中で、「食品の放射線基準を世界一厳しくすること」「誰もが身近で食品の放射線を検査できる仕組みを作ること」が提案されていたが、まったくその通りだと思う。脱原発のためには、原発容認・推進派の人に「放射線による健康被害」を訴えてもあまり効果はない。「放射性廃棄物をどうするのか」で攻めていくのが一番効果的。

このほかにもたくさんの方にお話いただきました。
権上さんには、途中と最後にお話しいただきましたが、ここにまとめます。

まずはこの映画に関して・・・

*最初にイラクの劣化ウラン弾のことがでてきて驚かされますが、これは今回の福島事故とは放射性物質の種類が異なるので、私にはイコールとは思えません。

*除染に関するシーンがありますが、今「原子力ムラ」と同じ構造で「除染ムラ」ができています。 自分達の権益を守る集団とでもいいましょうか。

そして現地に行かれている中での最新の思い・・・

*放射線をどう捉えるか、ということに関しては、とにかく「測る」「調べる」につきます。

*南相馬市で、数千人をホールボディーカウンターで半年、1年と検査した結果、ほとんどの人の線量は下がっていました。

下がらず横ばいだった人は4人だけ。どういう方たちかというと、高齢者で、農家の方で、ほぼ自分の家で採れたものを食べ、今も自宅に住んでいました。

今のところ健康状態は4人とも良好だということです。

*福島の内部被ばくは、チェルノブイリに比べると、かなり押さえ込めたという分析ができます。

 その理由は・・・

事故の公表が(これでも当時のチェルイブイリに比べると)早かった。

 チェルノブイリでは広大な土地に点々と住む人々がその土地で作ったものを食べていて、食品流通時のチェック機能がなかった。

日本では農家・小売り・消費者と何重にもチェック機能が働いた。

(皮肉なことに)日本の食糧自給率の低さが幸いした。

 日本の土壌も影響があるのではないか。土がセシウムを閉じ込め、植物には移りにくかった。(無くなったわけではない)今後も注目していきたい。

*これからも思わぬところに影響が出てくる可能性はあるので(たとえば建材・陶器など生活用品)

今後もこれで安心ということにはならない覚悟だけは、皆持っていないと、と思います。

権上さん、現地に行かれてのお話、わかりやすく伝えていただき、本当にありがとうございました。

今後とも情報の発信、アドバイスをよろしくお願いいたします。

そろそろカフェの時間も終わりにちかづきました。

参加者の方からいくつか情報をいただいたので、ここにまとめて紹介します。

・権上さんも「おそれて、こわがらず」を投稿されている「谷根千震災字報」では、谷中地区の今回の震災被害(銭湯が無くなるなど)や防災問題なども発信しています。どうぞご覧ください。

http://311.yanesen.org/archives/19

・雑誌「J−one」(ジーワンと読みます)を紹介します。福島の声を届け、これからの生き方と未来を探る支援型雑誌です。応援お願いします。

http://www.j-one21.jp/

・福島原発告訴団、全国に広がっています。
映画にあったように、国民は全員多少なりとも被ばく被害を受けています。
1億人全員が原告となることもできるのです。

情報はこちらから。 http://dainiji-fukusimagenpatsu-kokusodan.blogspot.jp/

・ご近所の放射能測定所の紹介です。
「日暮里放射能測定所—にっこり館—」西日暮里郵便局となりです。
http://www.bq-check.jp/

心配なものがあれば、測ってみませんか? 数値だけを伝えるのではなく、不安を解消できる、顔の見える測定所を目指しています。

安心なお米、野菜ジュースなどの販売もあり。どうぞお立ち寄りください。

・都民投票の映画取材のために今回参加してくださった土屋トカチ監督は、レイバーネットの事務局長でもあります。

レイバーネットTVではユーストリームを使って、働く者の視点から発信を続けています。
http://www.labornetjp.org/tv

原発問題に関してもたくさんの発信があり、土屋さんはなんとキャスターとして出演されています。どうぞご覧ください。

なお監督としての映像作品は「フツーの仕事がしたい」長時間労働の運転手が主人公のドキュメンタリーです。

カフェ終了の8:30が来ても、まだ話したりない方々が2人、3人と集まっていました。

会場やスタッフの都合もありカフェの延長はできないのですが、この場でできたつながりがまたメールやSNSなどで広がっていくとよいですね。

「おそれて、こわがらず」のためには、大変だけれども、ひとりひとりが情報を得
て、測って、調べて、判断していかなければならないのでしょう。

そして不安なときには、気持ちを語り合える場がどこかにあれば安心ですね。

この映画祭もそんな「場」のひとつになれたら、と思います。

さて次回は10月6日(土) 

昼の部は、第3回に好評だった「シェーナウの想い」を再上映します。

夜の部は、映画「未来への決断〜ノーモア 原発〜」の中から「エネルギーの未来を創る挑戦〜原発がなくても困らない!〜」を観ます。

ゲストは第3回に来てくださった建築家・彦根アンドレアさん。ドイツの最新エネルギー事情(シェーナウ村の現在も)をお話いただく予定です。

詳細はまたこのブログに載せますので、今しばらくお待ちください。

なお最後になりましたが、カフェ時に皆様からいただいたカンパは、飲食実費を差し引いた5,500円を、権上さんの活動に寄付させていただきました。

ありがとうございました。

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